圧縮系フォーマットの音質比較
[07.04.04 内容の一部を修正・追記]
・はじめに
YahooやGoogleの検索でやってきた皆さん初めまして。DreamSphere管理人のXinと申します。
MD 音質比較 MP3 WMA AAC等々の単語でココにたどり着いたと思いますが、
音質比較の解説なのでファイルの変換をしたかった方は文頭の「ファイル形式変換」だけで用事が足りると思います。
専門用語の説明を結構省いているので、適宜調べつつお読みください。
あと間違ってたりとか突っ込みとかはBBS(サーバーダウン中)にでも連絡ください。
ページ全体に一貫して言えることですが、圧縮は多かれ少なかれ音質を損ねますので私は好きではありません。
ケースバイケースだと思います。外で音楽を聞くなら多少は音質に妥協ができますが。(笑
検索で飛んでくる方が多いのでWMA→MP3などの変換の方法も一応記載しましたが、
音質比較のページを書いている私としてはお勧めできるものではありませんのでご注意を。
ソニーやエイベックスがCCCDについて考え直すほど、iPodの影響が大きいことに驚きを覚えます。
※今後の更新について
この文章は追記や修正を繰り返しているものの初出より4年ほど経過しています。
EZ着うたフルでのHE-AAC採用など勢力図として大きく変わってきていますので、
その辺を含めてこのページをベースに新しく書き直そうと思います。
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・ファイル形式変換
WMA→MP3やWAVなど他形式
WMA Ver9のロスレスモードや著作権保護されたファイル以外であればdBpowerAMPでできます。
WMAをMP3に変換しても、WAV(CDなど)→WMA→WAV→MP3と2度圧縮をかけることになるので、音質が悪化するだけです。
3倍モードで録画したビデオテープを3倍モードの録画でダビングするような感じです。
元のCDがあったらWMAからの変換方法なんて検索しないよという突っ込みを受けましたが。(笑
WMA→AAC
WMA Ver9のロスレスモードや著作権保護されたファイル以外であればdBpowerAMPでWAVにしてから、
iTunesに読み込ませて変換すればAAC形式のファイルになります。上と同じ理由で音質が悪化するので私は奨めません。
大量にWMAファイルがある方は変換の手間が馬鹿にならないので、iPodでなくWMAに対応した製品を買った方が幸せです。
WMAを再生するなら音質、再生時間、価格でiPodより優れている東芝のgigabeatが個人的にはオススメです。
今までずっとWindowsMediaPlayerでWMA形式に変換してきた人に向いていると思います。
ATRAC・ATRAC3→MP3やWAVなど他形式
ATRAC系のファイルはOpenMGという著作権保護がかけられているので他形式へ変換はできません。
あえて挙げるならVAIOに搭載されているSonicStage for VAIOのCD-R書き込み機能を使って音楽CDとして焼いて、
それをリッピングすれば最終的には他の形式になりますが上と同じ理由(2度圧縮がかかる)で悪化します。
NetMDやネットワークウォークマンに付属のSonicStage通常版ではCD-R書き込み機能が無いのでご注意下さい。
「SonicStageに曲を録りためる=ソニーのネットワークウォークマンかNetMD以外は絶対に買えない」 ということです。
MP3ならほとんどの会社の製品で再生できて汎用性がありますが、ATRAC形式で録りためると厄介なわけです。
iPodに乗り換えたくても乗り換えられず、結局はSONYのNWシリーズを買うか、貯めた曲を諦めるかの2択になるのです。
後々でiPodなどの他社の製品に乗り換えられるように、汎用性のあるフォーマットで保存しておいたほうが無難です。
最新バージョンのSonicStage3.2以降では著作権保護をするかしないかが選べるようになりました。
ファイルコピーをして他のPCでも再生できるようになり、今更ながらやっとMP3の使い勝手に近づいたと思います。
MD→MP3やWAV
新MDウォークマンを買わない限りは自分でアナログ録音した曲を除いてデジタルのままではコピーできません。
MDにはSCMSで規定されているデジタルコピーガードがかかっているため、
CDなどのデジタルソースから録音されたMDは光デジタル経由コピーできません。(詳しくはSCMSのリンク先参照)
自分でマイクなどを使ってアナログ入力録音したものは大丈夫ですが録音元がCDだとアウトです。
今年発売になった新MDウォークマンはパソコンにWAVファイルとして録音する機能がついたので、
それを買えばCDから録音した曲もパソコンに取り込むことができますがお値段がちょっと高めです。
→MZ-RH1 製品情報(ソニースタイル) Amazon

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・さてさて
MP3やWMAでMD以上の音質を確保するにはどうしたらいいか?
とふと思いMDのビットレートを電卓を弾いて計算してみると、292kbpsでした。
(音を1秒間あたり約29万ビットで表しているということ。音楽CDは約145万ビット。)
それが気になったので実験やらやってみようと思ったわけです。(最初の目的はこれだった)
余談ですが、「MDはCDと同じ音質」だと思い込んでいた人が居て、驚いたことがあります。
そんな彼(彼女)でも、MDLP4で録音したものと元のCDを聞き比べすると音質が悪くなるとわかります。
MDLP4は相当圧縮しているので、ラジオの録音などには向きますが音楽には適していないような感じがします。
最近流行のiPodやauの着うた、ドコモの着モーション、BSデジタル放送にもAACという圧縮方式が使われています。
MDからiPodなどなどに乗り換えようと思う人も多いでしょうからWMA、MP3、AAC、MD(ATRAC)という、
圧縮系フォーマットの音質を比較して参考にしてみたいと思ったのです。(いつのまにかガチンコ比較に)
・基本事項
---なぜ圧縮するか?---
ATRACやらMP3やらWMAやらAACやら(以下略)は人間の耳に聞こえない音を削ってデータ量を小さくする技術です。
聞こえない音でも臨場感やニュアンスを表現しているのですが・・・それは後ほど説明。
本来の圧縮の目的は通信インフラの転送レート相応の品質に落とすためなのですが…。(コチラが解説詳しいです。)
音楽CDは音質がよい分だけデータ量が非常に多いので、ハードディスクに保存する時や、
iPodなどの携帯型プレーヤーに記録する時もファイルのサイズが大きすぎて転送時間も容量も食うことになるのです。
CDなど無圧縮の音のデータは高音質ですが膨大な大きさがあります。
内容だけが確認できればい場合…例えばねぶたげなジジイの長ったらしい話会議の録音とかは、
高音質だったとしても誰も喜ばないですし…会話の中身が分かる範囲で圧縮(音質を落とす)しても問題ないわけです。
だから音の質を落としてデータ量を小さくし、扱いやすいようにするわけです。
私たちは携帯電話で何気なくしゃべっていますが、あの音声も実は圧縮されています。
たまにロボットみたいな声になったりとかへんな音とか聞こえたりするのは、
電波の受信状態が悪いせいでデータがきちんと届かず圧縮した声を完全に復元できなくなるからです。
BSデジタルや地上波デジタル放送では限りある電波の伝送帯域を有効利用するために音声を圧縮しています。
猫も杓子も…どこ見ても音声圧縮技術は無くてはならないものになっています。
---MP3とは?---
MPEG Audio Layer 3の略。
ドイツのフラウンフォーファー社やトムソンマルチメディア社などが開発した圧縮方式。
著作権保護機能がまったく無いので、諸悪の根源とされているが使い方が悪い人間のせいである。
どんなに便利な技術であっても悪用すればそれまでということですね。
人間の聞こえない高い音や聞こえに影響しない音を削ったりしてデータ量を小さくしています。
だいたい音楽CDと比較してデータは5分の1から10分の1の大きさになります。
Spectral Band Replicationという技術を用い低ビットレートでの高音部の音質を改善した、
MP3PROというMP3と互換性のある圧縮形式も登場しましたが普及率はイマイチです。
---AACとは?---
Advanced Audio Codingの略。
MP3の開発に関わったFraunhofer、アメリカ版NTTと呼ばれるAT&T、携帯電話メーカーのノキア、
ソニー、ドルビーラボなどが参加するMPEG標準化団体によって作成されました。
MP3よりも高音質であるのが売りでAACのプレイヤーといえばiPodが有名ですね。
比較結果まだ掲載していませんが、低ビットレートではMP3よりは高音質です。
周波数特性は、比較するMP3のエンコーダーの設定によって変わってきますが、AACが劣る事があります。
周波数特性=音質がいい と言うことにはなりませんが…。
---HE-AACとは?---
High Efficiency Advanced Audio Codingの略。
AAC系列でもっとも新しい圧縮方式です。auとボーダフォンの着うたフルに使用されています。
他の圧縮方式と比較して低ビットレートでも高音質なのが特徴です。
auの着うたフルは48kbpsのHE-AACで配信されています。
ステレオなので片チャンネルあたり24kbpsというわけでかなり高圧縮です。
MP3PROと同じくSpectral Band Replicationを用いて高音部を分離圧縮し、
再構築することで低ビットレートでの音質を確保しています。
AAC+(AAC Plus)という別名もあります。
---WMAとは?---
Windows Media Audioの略
マイクロソフト社がMP3に対抗すべく開発した圧縮方式。
MP3と違って著作権保護の機能がついているので、保護をかけるとコピーできなくなります。
そのせいで自身が作ったWMAファイルが再生できなくなったりすることがあり不評。
また、MP3がいい加減普及しおえたあとだったからばつが悪かったように見える。
圧縮のやり方は違えど目的はMP3と同じでデータ量を小さくするためです。
MP3とWMAはWindowsとMacみたいな違いです。
目指すものは同じだけど互換性が無くて、似て非なるものでしょうか。
他の形式と違って音質を損なわずに圧縮するロスレス形式が選べるのが特徴です。
---MDとは?---
Mini Discの略って説明不要ですね…というわけにはいきません。。
ソニーが開発したことを知らない人が意外に多いのが特徴です。
MiniDiscというディスクの中に、ATRACやATRAC3という圧縮形式で保存しています。
MDというのはあのディスクの名前で圧縮方式指すものではないので注意です。
ATRACやATRAC3もMP3やWMAと同類です。聞こえない音を削って…(以下省略
SPモード→ATRAC方式 LP2、LP4→ATRAC3方式 で録音されます。
Hi-MDが発表されましたが、簡単に説明するとMDのディスク容量が増えたものです。
Hi-MDでは非圧縮もサポートされたのでCDと全く同じ音質で記録ができるようになっています。
最近ではソニーもMDに消極的なので今後残るとしたら録音用途になると思います。
・変わる音質
ビットレートや圧縮に使ったソフトによって音質が変わることの解説。
長くなりそうなので更新時追記に。
・ココ大事です
個人の好みもあるので私の主観書いた部分は参考までにしておいてください。
(周波数の数値とか聞いた結果は嘘をつかないので信用していただいて構いませんが。)
今回のテストの目的は、WMA形式 MP3形式 MD(ATRAC形式)、AAC形式の比較です。
MDとAACが時間的な制約があって全部書ききれないので、今のところはMP3とWMAだけになっています。
MDとの比較は結論だけ書いてありますので参考になるようであれば幸いです。
使った曲 明日への涙 (おねがいツインズED Vo.川田まみ)
ソフト Cool Edit Pro 2.0 (Syntrillium):波形表示、周波数表示
Production Studio (Audioactive):MP3変換、MP3エンコーダーはFraunhofer IIS
RazorLame (Holger Dors):MP3変換、MP3エンコーダーはLAME Ver.3.951
Media Player (Microsoft):WMA変換、WMAエンコーダーはVer.8
評価方法 MP3やWMAへ変換する。その後Cool Editで試聴と周波数解析をしてExcelでグラフを作成。
エンコードオプションは低速高音質、ジョイントステレオです。曲のLRの差が大きいためジョイントステレオに向いているためです。
テスト結果にFraunhofer IISでエンコードした結果を載せていませんが、エンコード後の音が誰が聞いてもひどかったので
結果を載せるまでもないと判断をしました。変換オプションによって変わってくるので時間があれば再テストしたいと思います。
低ビットレートの圧縮ではLAMEより高音質だったのですが、高ビットレートには向いていないようです。
このテストの目的は高ビットレート環境でのMDとの比較なので結果が思わしくないのはちょっとまずいのではと思います。
選曲についてですが、MP3形式に圧縮したときに音質がよくないと感じる曲を基準に選びました。
次回のテストではジャンル分けして多岐にわたってテストする予定です。
[Tips] ジョイントステレオとステレオの違い
MP3圧縮をするときに、ジョイントステレオとステレオが選べると思います。
これらの違いはいったいなんだろうと考える方も多いと思いますので大まかにイメージで説明します。
あくまで分かりやすく説明するためなので実際は心理音響まで駆使して計算されています。→心理音響モデル
ステレオ ・・・ モノラル×2とみなして、各チャンネル独立してエンコードする方式
ジョイントステレオ ・・・ 右と左の音が似ているのに注目して、右と左の音の差を考慮してエンコードする方式
これだけではパッとしないのでもう少しわかりやすくすると…。
たとえば、右チャンネルにド+ミ+ソ、左チャンネルにミ+ソの和音がなっていたとします。左右の差はドの分だけになります。
------------------
ジョイントステレオ
・右 左の音+ド
・左 ミ+ソ
------------------
保存する時に右チャンネルのデータは「ド」、左チャンネルは「ミ+ソ」を記録しておきます。
すると5つだった音のデータが圧縮後には3つで済むことになります。
圧縮した音楽を再生するときに足し算をして右チャンネルの音を復元してあげれば元通りです。
減らした分のデータはカットされるはずだった高音に割り当てられ、音質向上が期待できるわけです。
・値で見るテスト結果
明日への涙の3分38秒の周波数分布図です。
ラジカセやカーオーディオについている高音〜低音を表示しているバー表示(スペアナ=スペクトラムアナライザ)と同じです。
(こちらはもっと細かくて正確ですが。)
周波数分布図(クリックすると拡大)
左が低音、右が高音です。結果は無圧縮であるWAV(青)と比較すれば一目瞭然です。
WMAもMP3も128kbpsだと17000Hz以上がばっさりと切られています。WMAの192kbps、MP3の256kbpsは20000Hz付近で切られています。
周波数特性はWMAもMP3もそんなには変わらないということになります。
WMAはソフトの都合上192kbps以上でエンコードできなかったので256kbpsのMP3と比較した時に不利なはずであるのに、健闘しています。
まあWMA嫌いとか言わないでください。(笑 元のWAVの音にもっとも近いのはWMAの192kbpsです。
青いWAVの波形に近いほど原音に近いことになるのですが、低音〜高音までWAVに近いのはWMAの192kbpsだけです。
あくまで原音に近いというだけなので、その音がいいかどうかは聞く人によると思います。
元のWAVとの差(クリックすると拡大)
上のグラフと同じで周波数分布図です。デシベルが大きいほどその周波数の音が削られたということになります。
逆にマイナスになっている部分は、元の音から音を削るどころか増やしている部分です。
どの圧縮方式も人間の耳に聞こえる中音域を増やしていることがわかります。
聞こえない音を削る代わりに、聞こえる音をもっと聞かせるという理にかなった圧縮をしていることが分かります。
聞こえない音をデータに盛り込むよりも、聞こえる音を盛り込んだほうが最終的な聴感がよくなる傾向にあるのですが、
それにしてもMP3の0〜5000Hzが酷すぎますね…。
・まとめ
周波数特性だけで比較するとWMAに軍配が上がるのでは?
聴感から判断するとWMA、MP3共にビットレートが128kbpsだとMDには及ばない。
特にMP3の128kbpsはナマの音が苦手で、シンバルの音に迫力がなくなるのが目立つ。
MDを超えるにはWMAで192kbps、MP3では256kbpsは必要であると思う。
AACもiPod人気が冷めないうちにテストしたいですが、本業が忙しくて時間があんまり無いのですよ。
私がiPodを買ったら、おそらく音質を損ねないロスレスで使うと思いますが…。
周波数特性が良いこと=高音質というわけではないのが難しいところです。
人間の耳に聞こえる音を削って、高音ばっかりだったら本末転倒で不効率です。
(音質を良く見せるために高音域のカット位置を高くしているハッタリエンコーダーがあったりします。)
不足データも多いので時間があれば大幅に書き直します。
値を見て判断できるスキルのある方は↑のグラフでどうぞ。
あくまで参考値ですのでエンコード条件によって変わることに留意してください。
・参考書籍や使用機器など
研究の参考になりそうな書籍やソフト、機器のリンク(アマゾン)です。一部は図書館や書店にあると思うので読んでみてください。
趣味の領域ならココまでの本は必要ありませんが、リファを見ていると研究・開発している方も多いようですので追記しておきます。
・Adobe Audition 2.0 日本語版 Windows版
解析に使用したCoolEditの後継ソフトです。Adobe社によって買収され日本語化されました。
非常に操作しやすく処理が高速なのが特徴です。値段は高いですがイチオシです。
教育機関や学生なら学生割引もありますが…製作や研究をしないのならフリーソフトで十分です。
1.5→2.0へのバージョンアップによりASIO対応など大幅に拡張されました。
CQ出版社から出ている本は分かりやすいものが多いです。MPEGの符号化について解説されています。
内容は丁寧で分かりやすい解説が多く、どちらかというと概略をまとめた読み物に近いです。
少し古い本ですが、MDの構造や圧縮について詳しく書かれています。
MDにかかわるのであれば一読は必須だと思います。MDLPやHi-MDを追記した改訂版が望まれます。
CDの事を知るならまずこの本だと思います。信号の仕組みが参考になると思います。
かなり昔の本ですが、CDについて調べるならこの本は読まないと。
どのように音がデジタル化されているかの基礎を勉強する上で参考になると思います。
信号解析に必要な数学をゴリゴリと解説した本なので読むのが辛い本です。
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